「SCHD」と「VYM」、どちらを選ぶべきか迷っていませんか?
投資初心者から上級者まで、米国高配当ETFを選ぶ際に多くの方が感じる悩みです。
この記事では、「SCHD」と「VYM」の特徴、セクター比率、ポートフォーリオ、各種指標を徹底比較します。
どちらのETFが自分にとって最適なのか、判断する材料になれば幸いです。
基本情報
項目 | SCHD | VYM |
運用会社 | Charles Schwab Investment Management | Vanguard Group |
設定年 | 2011年10月 | 2006年11月 |
投資対象 | 米国の 高配当株式 | 米国の 高配当株式 |
経費率 | 0.06% | 0.06% |
総資産額 | 677億ドル (約10兆) | 619億ドル (約9兆) |
構成銘柄数 | 約100銘柄 | 約400銘柄 |
どちらも総資産額が大きく、安心して投資できますね。
経費率も格安ですね。
セクター比率
SCHDとVYMのセクター別比率を、上位のセクターから順番に示します。
SCHD セクター比率(%) | VYM セクター比率(%) | ||
金融 | 18.20 | 金融 | 21.80 |
ヘルスケア | 15.83 | 資本財サービス | 12.70 |
生活必需品 | 14.02 | ヘルスケア | 11.70 |
資本財サービス | 13.45 | 生活必需品 | 10.80 |
エネルギー | 11.92 | 一般消費財・サービス | 10.10 |
一般消費財・サービス | 9.71 | 情報技術 | 9.90 |
情報技術 | 8.80 | エネルギー | 9.60 |
コミュニケーションサービス | 4.92 | 公益事業 | 7.20 |
素材 | 3.11 | コミュニケーションサービス | 4.30 |
公益事業 | 0.04 | 素材 | 2.00 |
SCHDとVYMのセクター比率は、意外と似ていますね。
ポートフォーリオ
SCHD 銘柄選定基準
「ダウ・ジョーンズ米国配当100指数」に含まれる株式に投資することを目指しています。
- 少なくとも10年間連続して配当を支払っていること
- 企業の時価総額が最低5億ドル以上であること
- 株式の取引量(流動性)基準を満たしていること
VYM 銘柄選定基準
「FTSEハイディビデンド・イールド・インデックス」に連動するパフォーマンスを目指しています。
- 平均以上の配当利回りが予測される株式を重視した大型株。
SCHD、VYMの上位10銘柄
上位10枚柄のポートフォーリオ全体に占める割合は、SCHD 40.5%、VYM 24.8%となっています。
米国を代表する優良企業が揃っており、安定した配当を提供するだけでなく、将来的な増配も期待できる企業群です。
これらの企業は、業界内で確固たる地位を築いており、長期的な成長と安定した収益基盤を誇ります。
SCHDの上位10銘柄
銘柄 | 比率(%) | セクター |
ブリストル・マイヤーズ スクイブ | 4.46 | ヘルスケア |
ブラックロック | 4.44 | 金融 |
シスコシステムズ | 4.43 | 情報技術 |
シェブロン | 4.35 | エネルギー |
ホーム・デポ | 4.31 | 一般消費財・サービス |
ベライゾン・コミュニケーションズ | 3.92 | コミュニケーションサービス |
テキサス・インスツルメンツ | 3.72 | 情報技術 |
アルトリア・グループ | 3.66 | 一般消費財・サービス |
ユナイテッド・パーセル・サービス | 3.65 | 資本財・サービス |
ロッキード・マーティン | 3.61 | 資本財・サービス |
VYMの上位10銘柄
銘柄 | 比率(%) | セクター |
ブロードコム | 4.4 | 情報技術 |
JPモルガン・チェース | 3.4 | 金融 |
エクソンモービル | 3.0 | エネルギー |
プロダクターギャンブル | 2.3 | 生活必需品 |
ホーム・デポ | 2.3 | 一般消費財・サービス |
ジョンソン&ジョンソン | 2.2 | ヘルスケア |
ウォルマート | 2.0 | 生活必需品 |
アッヴィ | 2.0 | ヘルスケア |
メルク | 1.6 | ヘルスケア |
コカ・コーラ | 1.6 | 生活必需品 |
SCHDはその上位10銘柄の影響を大きく受けやすく、VYMよりもそのパフォーマンスが特定の銘柄に依存している傾向が強いと言えますね。
SCHD vs VYM 指標の比較
各指標を比較してみましょう。
株価パフォーマンス
SCHD,VYMともに株価は右肩上がりに上昇しています。
両ETFの設定日からの株価のパフォーマンスは、SCHDがVYMを上回るパフォーマンスとなっています。
赤線:SCHD 青線:VYM
2025年1月6日から過去1年間の株価のパフォーマンスは、VYMがSCHDを上回るパフォーマンスとなっています。
赤線:SCHD 青線:VYM
長期的に見た場合、SCHDはその配当成長戦略と株価パフォーマンスの実績から、VYMを上回る成果を期待できる可能性が高いと思います。
配当利回り
2013年~2023年までの分配金利回りの推移を示します。
年 | SCHD | VYM |
2023年 | 3.49% | 3.12% |
2022年 | 3.39% | 3.01% |
2021年 | 2.78% | 2.76% |
2020年 | 3.16% | 3.18% |
2019年 | 2.98% | 3.03% |
2018年 | 3.06% | 3.40% |
2017年 | 2.63% | 2.80% |
2016年 | 2.89% | 2.91% |
2015年 | 2.97% | 3.22% |
2014年 | 2.63% | 2.78% |
2013年 | 2.47% | 2.81% |
- 2013年から2020年にかけては、VYMの方がSCHDよりも配当利回りが高い傾向にありましたが、直近3年間(2021年~2023年)では、SCHDがVYMを上回る結果となっています。
- SCHD、VYMともに、直近5年間(2019年~2020年)の配当利回りは上昇傾向にあります。
- VYMは、全体的に3%前後で推移しており、安定しています。
- 2018年は米中貿易戦争の激化、2020年はCOVID-19パンデミックの影響を受け、配当利回りがやや増加しました。
安定した利回りが魅力のVYMと、近年高い利回りを実現しているSCHDといった特徴がありますね。
過去10年のバックテストによるパフォーマンス
2014年12月31日~2024年12月31日まで月5万円積立投資していた場合のバックテストを行いました。
この分析は過去のデータに基づいており、将来のパフォーマンスを保証するものではありません。
- 積立金額 毎月約5万円 (333ドル 1ドル=150円で換算)
- 分配金は再投資
- バックテストはPortfolio Visualizerで実施
過去10年において、
最終評価額、となりました。 Best Year、Worst Year、Sharpe Ratioは、SCHDの方がVYMを上回るパフォーマンス
一方、標準偏差(リスク)は、VYMの方がSCHDより小さくなりました。
SCHD | VYM | |
最終評価額 | 10,887,900円 ($72,856) | 10,427,700円 ($69,518) |
Best Year | 29.87% | 26.21% |
Worst Year | -5.56% | -5.91% |
Sharpe Ratio | 0.65 | 0.59 |
標準偏差 | 14.99% | 14.37% |
各指標を比較して見えてきた選定のポイント
成長性や高配当を重視する場合はSCHD、配当の安定性を優先するならVYMをおすすめします。
過去10年のパフォーマンスではSCHDがVYMを上回っており、成長性を取り込みたい方にはSCHDが適しています。
一方、過去10年の配当利回りの推移や標準偏差(リスク)を踏まえると、毎年安定した配当金を確保したい場合にはVYMが適しているといえるでしょう。
SCHDは投資信託で購入可能
SCHD(ETF)は、日本の証券会社を通じて直接購入することはできません。
楽天証券やSBI証券では、SCHDに投資する投資信託を購入することができます。
楽天証券「楽天・高配当株式・米国ファンド(四半期決算型)」
SBI証券「SBI・S・米国高配当株式ファンド(年4回決算型)」
まとめ
SCHDとVYMはどちらも高配当ETFとして優れた選択肢ですが、投資目的に応じて選ぶべきETFが異なります。
SCHDは、過去の実績と比べて成長性が高く、配当利回りも安定していますが、リスク(ボラティリティ)も若干高い傾向にありました。
一方、VYMは配当の安定性に優れ、長期的に安定した収益を得ることを重視する投資家に適しています。
リスクを抑えながら安定した配当を求めるならVYMを、より高い成長と配当を期待するならSCHDを選ぶとよいという結論に至りました。
それぞれのETFの特性を理解し、自身の投資戦略に合った選択をすることが重要ですね。