SCHDとS&P500、あなたの投資戦略に最適なのはどっち?

投資を始める際には、自分の目標やライフスタイルに合った選択をすることが重要です。

「SCHD」と「S&P500」は、それぞれ異なる投資スタイルに応える特徴を持っています。

この記事では、「SCHD」と「S&P500」の特徴を詳しく解説し、シミュレーションを通じてトータルリターンを比較します。

その上で、各投資戦略がどのような人に適しているかを具体的に示します。

自分に最適な選択を見つけるヒントを得るために、ぜひ最後までご覧ください。

目次

SCHDとS&P500の比較

概要

項目SCHDS&P500
運用目的高配当株による安定した収入を目指す。資産の長期的な成長を目指す。
対象インデックスDow Jones U.S. Dividend 100 Index(米国高配当株100社)S&P500(米国大型株500社)
主な収益源インカムゲインキャピタルゲイン
配当利回り約3%~3.5%(高配当)約1.5%前後(比較的低め)
ボラティリティ安定したリターンを期待でき、
比較的低め。
市場全体に連動し、
変動が大きい場合も。

パフォーマンス

SCHD設定日の2011年10月20日から2024年12月6日までのS&P500とSCHDのパフォーマンス(配当込み)は、短期的には、SCHDの方が優れたパフォーマンスを記録した時期もありますが、長期的に見るとS&P500の方が全体的に高いリターンを実現しています。

※ETFreplay.comのETF ChartsにてSCHDとSPYのチャートを表示し確認。

セクター比率

SCHDは、金融ヘルスケア生活必需品セクターが多くを占めており、これらの分野は安定的な配当を提供する企業が多いことが特徴です。

一方、S&P500は情報技術セクターの比率が圧倒的に高く、特にテクノロジー企業の影響力が大きいことが特徴です。

スクロールできます
セクターSCHD
比率(%)
SPDR S&P 500 ETF
比率(%)
金融18.2012.50
ヘルスケア15.8311.59
生活必需品14.025.89
資本財サービス13.457.58
エネルギー11.923.30
一般消費財・サービス9.7110.37
情報技術8.8032.92
コミュニケーションサービス4.928.83
素材3.112.02
公益事業0.042.67
SCHDのセクター比率は2024/11/22現在、SCHD ファクトシートおよびSPDR S&P 500 ETF Trust (SPY) Sector Weightingsを元に作成

構成銘柄 上位10銘柄

SCHDの上位銘柄は、業界で確固たる地位を持つ成熟企業が多いです。

S&P500の上位銘柄は、テクノロジーセクターに集中しています。

クラウドコンピューティング、AI、半導体技術、ソフトウェア、インターネット関連事業で大きな影響力を持つ企業です。

スクロールできます
SCHD比率(%)S&P500 比率(%)
ブリストル・
マイヤーズ スクイブ
4.46マイクロソフト19.9
ブラックロック4.44アップル18.0
シスコシステムズ4.43エヌビディア17.4
シェブロン4.35アマゾン・
ドット・コム
10.2
ホーム・デポ4.31メタ・
プラットフォームズ
6.6
ベライゾン・
コミュニケーションズ
3.92アルファベット
(クラスA)
6.3
テキサス・
インスツルメンツ
3.72アルファベット
(クラスC)
5.3
アルトリア・グループ3.66バークシャー・
ハサウェイ
4.5
ユナイテッド・
パーセル・サービス
3.65イーライリリー4.3
ロッキード・
マーティン
3.61ブロードコム4.2
SCHD:2024/11/22時点、S&P500:2024/6/24日時点

比較結果から見える投資の方向性

S&P500は米国の大手企業500社で構成され、特にテクノロジーや成長株が多く含まれています。

そのため、一般的には長期的な資産成長を目指す若年層に最適な選択肢となるでしょう。

SCHDは安定した配当を重視した高配当株で構成されています。

そのため、一般的にはリスクを抑えながら、配当金で日々の暮らしを豊かにしたい中高年層に最適な選択肢となるでしょう。

トータルリターンの比較

SCHDとS&P500では、トータルリターンにどれくらいの差が生じるのでしょうか?

実際にシミュレーションを行いました。

このシミュレーションは、結果を保証するものではありません。投資は自己責任でお願いします

前提条件

初期投資額  0円
毎月積立金額 5万円
税金の考慮無し

SCHD シミュレーション条件
 ・配当利回り 3.4%(直近の配当利回り)
 ・増配率 11.1%(過去10年の平均)
 ・株価成長率 8.7%(過去10年の平均)
  ※各値はseekingalpha.com より引用
   ※シミュレーションは「omae no blog」の

  「配当金・分配金シミュレーション」ツールを使用

S&P500シミュレーション条件
 ・年率平均リターン(配当込み)
  12.5% (過去20年の平均)
  ※値は『myINDEX』 マイインデックスより引用
  ※シミュレーションは金融庁の

  「つみたてシミュレーター」を使用

SCHDの配当金 再投資なしの場合

スクロールできます
投資期間SCHDの運用収益
(譲渡益+配当金)
S&P500の運用収益
(譲渡益)
5年93万円114万円21万円
10年467万円585万円118万円
15年1,290万円1,720万円430万円
20年2,835万円4,092万円1257万円
25年5,538万円8,770万円3232万円
30年10,096万円19,538万円9442万円

SCHDの配当金 再投資ありの場合

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投資期間SCHDの運用収益
(譲渡益+配当金)
S&P500の運用収益
(譲渡益)
10年523万円585万円62万円
20年3,924万円4,092万円168万円
30年19,354万円19,538万円184万円
  • 運用収益は、S&P500がSCHDを上回る結果となりました。
  • SCHDの配当金を再投資しない場合、投資期間が長期にわたるほど、SCHDの運用収益はS&P500と比較して大幅に低くなりました。
  • 一方、SCHDの配当金を再投資した場合、S&P500との運用収益の差は非常に小さくなりました。

SCHDの配当金を再投資した場合、予想以上に収益の差が小さかったことに驚きました。

S&P500に向いている人

長期投資により老後資金や子供の教育資金などを準備したい人

S&P500は、長期的な株価の成長を目指す人に向いています。

例えば、20代のAさんが月5万円をS&P500に投資し、年利6%で運用すると、30年後には約5000万円の資産を築ける可能性があります。

このように、リタイア時にまとまった資産を形成したい若年層には特に向いていると言えるでしょう。

さらに、15年以上の長期投資を行うことで、どの時期に投資を始めたとしても、過去のデータに基づくと平均してプラスのリターンを得られる可能性が高いことが示されています。

老後資金や子供の教育資金を準備するためには、投資期間を少なくとも15年以上設けることを目指しましょう。

給与所得など安定した所得がある人

定期的な収入がある場合、長期的にリスクを取れる立場にあります。

給与所得を得ながらS&P500への積立投資を行うことで、資産を着実に増やし、リタイア時には十分な資産を築ける可能性が高くなります。

低コストで投資したい人

S&P500の方がSCHDより信託報酬が安いです。

投資対象ファンド名称信託報酬
S&P500eMAXIS slim 米国株式(S&P500)0.09372%
楽天・プラス・S&P5000.077%
SCHD楽天・高配当株式・米国ファンド(四半期決算型)0.192%
SBI・S・米国高配当株式ファンド(年4回決算型)0.1238%

新NISAの税制優遇を最大限生かしたい人

複利の効果を最大限に引き出しやすいS&P500のような成長志向の投資先が適しています。

定額や定率の取り崩しに抵抗感がない人

市場が大きく下落した際、資産の取り崩しを続けることに不安を感じることがあるかもしれません。

しかし、定額や定率で資産を取り崩すことに心理的な抵抗がない人であれば、SCHDよりも高いリターンを期待できるS&P500の方が適しているでしょう。

SCHDに向いている人

安定した配当収入を得たい人

SCHDは高配当株に特化して設計されており、構成銘柄の多くが安定した配当を出す企業です。

結果として、S&P500と比べて配当利回りが高くなる傾向があります。

定年が近い人

定年後は給与収入がなくなるため、生活費の一部を配当金で補いたいと考える人にとっては、安定的に配当金を得られるSCHDが適しています。

FIRE(早期リタイア)を目指している人

FIRE後、資産を売却せずに配当で生活費をまかなえるため、心理的な安心感があります。

まとまった資金を安定収益に変えたい人

まとまった資金を投資することで、その配当利回りに応じた安定的な現金収入を得られるため、資産を有効活用できます。

1,000万円をSCHDに投資し、配当利回りが3.5%の場合、年間約35万円の配当収入が得られます。

定額や定率の取り崩しに抵抗感がある人

SCHDは市場が不安定な時でも安定的な配当収入が期待できるため、取り崩しの必要性が低く、安心感を持ちながら資産運用ができます。

SCHDとS&P500の併用投資は選択肢として有力か?

併用する場合、メリット・デメリットがあり、人によって最適な選択肢は異なります。

そのため、自分の投資目標やライフステージ、リスク許容度をよく考慮する必要があります。

メリット

リスク分散効果

S&P500とSCHDを組み合わせることで、ポートフォリオのバランスが取れ、安定的な収益と資産の成長を同時に追求することができます。

過剰な心配の回避

成長株主体のS&P500と高配当株主体のSCHDを併用することで、どちらかの短期的なパフォーマンスの低迷を補い、全体の安定性を向上させるため、投資に伴うストレスが軽減されます。

デメリット

パフォーマンスの相殺効果

S&P500の高いリターンがSCHDの比較的低いリターンによって薄まる可能性があります。

戦略の不明瞭化

配当収入と資産成長という異なる投資目的を同時に追求することで、自分の投資目標が不明瞭になる可能性があります。

どちらか一方に注力する方が、目標達成の道筋を明確にしやすい場合もあります。

SCHD、S&P500、日本高配当株
それぞれ 1:1:1
の割合で投資する予定です。

まとめ

この記事では、「SCHD」と「S&P500」を比較し、それぞれがどのような投資スタイルに適しているかを解説しました。

SCHDは安定した配当収入を重視し、特に中高年層や安定収益を得たい投資家に向いています。

一方、S&P500は資産の長期的な成長を目指す人に最適で、特に若年層におすすめです。

また、両者を併用することで、リスク分散と安定的な収益を同時に目指せますが、パフォーマンスが相殺される可能性もあります。

自分の投資目的やライフステージに合わせて選択することが重要です。

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