安定した配当収入を得ることは、多くの人にとって魅力的な目標です。
月々の生活費や趣味のための資金を配当金で賄えるようになれば、経済的な自由度も大きく広がります。
この記事では、配当金月3万円を目指して投資を進めるために、どの程度の投資額が必要か、またどのようにポートフォリオを組み立てると効果的かを解説します。
また、日本株や米国ETFの具体的な銘柄を紹介します。
配当金月3万円の魅力
毎月3万円の配当金があれば、日々の生活費の一部を配当収入でまかなえるようになります。
光熱費や通信費を全額カバー
- 電気+ガス道+ガス
- スマホ代+光回線
食費の一部をカバー
- 自炊・外食の費用
- 家族の食費
趣味や旅行費用に割り当て
医療費などの突発的な支出に対応
配当金月3万円があれば、日々の支出をカバーするだけでなく、生活の質も大きく向上します。
小さな贅沢や趣味を楽しむ余裕ができるのはもちろん、突然の支出にも対処しやすくなるため、全体的な家計の安定感が増します。
配当金月3万円を得るにはいくら必要
必要な配当金額(年間36万円)を得るための投資額は、選ぶ銘柄の利回りによって大きく異なります。
配当利回りごとに、NISA口座と特定口座での必要投資額を示します。
日本株の場合
NISA口座を利用すれば、配当金は非課税となるため、税金を引かれることなくそのまま全額が受け取れます。
特定口座では、配当金に20.315%の税金がかかります。
以下に、税金を考慮した利回り別のおおよその必要投資額を口座別で示します。
配当利回り | 必要投資額 | |
NISA口座 | 特定口座 | |
3% | 1,200万円 | 1,506万円 |
3.5% | 1,028万円 | 1,292万円 |
4% | 900万円 | 1,129万円 |
4.5% | 800万円 | 1,004万円 |
5% | 720万円 | 903万円 |
利回りが高い銘柄を選べば、少ない投資額で目標を達成できます。
しかし、高利回りの銘柄には減配リスクや業績不安が伴う場合もあるため、選定には慎重さが求められます。
米国ETFの場合
NISA口座では日本の税金は免除されますが、米国源泉税10%がかかります。
特定口座では、確定申告で税額控除申請をすれば、米国源泉税の全額又は一部を取り戻すことができますが、ここでは、税額控除しない場合の税率で計算しています。
以下に、税金を考慮した利回り別のおおよその必要投資額を口座別で示します。
配当利回り | 必要投資額 | |
NISA口座 | 特定口座 | |
3% | 1,333万円 | 1,944万円 |
3.5% | 1,143万円 | 1,667万円 |
4% | 1,000万円 | 1,459万円 |
4.5% | 889万円 | 1,297万円 |
5% | 800万円 | 1,167万円 |
米国ETFの場合は、配当利回り3%~4%程度のVYM、HDV、SPYD、SCHDを選ぶのがよいでしょう。
日本株のポートフォーリオの組み方
日本株投資においては、最近注目されている高配当ETF(例:日経高配当50 ETF)と比較して、個別株を組み合わせたポートフォリオの方が、投資機会やコスト面で有利であると考えています。
理由は以下のとおりです。
優良企業の選定
個別株を選別することで、ETFに組み込まれていない優良企業や、独自の成長ストーリーを持つ銘柄に投資できるメリットがあります。
組み入れ銘柄の偏り
高配当ETFは、景気敏感株や特定のセクターに偏りやすく、相場全体の影響を大きく受ける傾向があります。
コスト負担
ETFは信託報酬(運用手数料)がかかるため、長期保有時にはコストが積み重なります。
大型株・中小型株のバランス
大型株、中小型株をどの割合で組み合わせるかは、目的やリスク許容度に応じて決めるべきです。
大型株
一般的に安定した業績と高い市場シェアを持っているため、リスクが比較的低く、配当も安定しています。
特に、安定した配当を求める場合や、長期的に安定した成長を見込む場合に最適です。
経済全体に影響されにくいという特徴もあります。
王道の大型高配当株といえば、以下のような銘柄でしょうか。
日本電信電話 | 安定した配当で安心感を提供 |
KDDI | 堅実な成長と高配当で信頼 |
伊藤忠商事 | 安定した収益力で高配当 |
三菱商事 | 強固な事業基盤と高配当で安定収益 |
東京海上HD | 安心の保険事業で安定した配当 |
積水ハウス | 堅実な成長と安定配当を誇る |
オリックス | 多角的な事業展開で安定した配当 |
三菱UFJFG | 強固な金融基盤で安定した配当 |
三井住友FG | 安定した利益と高配当で信頼 |
三菱HCキャピタル | 多様な投資で安定した配当 |

大型株は配当利回りが自分の購入基準に達しづらいため、市場全体が下落したタイミングを狙い、優先して購入したいです。
中小型株
成長の余地があり、企業規模の拡大とともに、業績の向上が見込めますが、その分リスクも高くなる傾向があります。
配当金も安定している場合が多く、成長と配当のバランスを取ることができます。
中小型株で個人的に長期で保有したいと思う銘柄を10社挙げてみました。
全国保証 | リコーリース |
竹内製作所 | 横河ブリッジHD |
DCMホールディングス | 蔵王産業 |
住友精化 | CDS |
SRAホールディングス |



個人的には、大型株60%、中型株25%、小型株15%を目安にポートフォリオを組みたいと考えています。
セクター分散
日本株の高配当ポートフォリオを組む際、セクター分散は非常に重要です。
特定の業界や分野に集中してしまうと、景気変動や業界特有のリスクに大きく影響される可能性があります。
複数のセクターに分散投資することで、安定した収益とリスク分散を両立させることができます。
1つのセクターが全体のポートフォリオに占める割合は、最大で30%以内に抑えるのが一般的な目安です。
景気敏感株とディフェンシブ株のバランス
景気敏感株とディフェンシブ株のバランスは、投資家の目的やリスク許容度、そして市場環境によって変わりますが、基本的な目安としては以下の割合が一般的です。
景気敏感株: 経済の改善局面で業績向上が期待できる企業(例:商社、建設、製造業など)
ディフェンシブ株: 景気変動の影響が少なく、安定的な収益と配当が期待できる企業(例:情報通信、電力、食品、医療、保険など)
安定収益重視型ポートフォリオ
- ディフェンシブ株:60~70%
- 景気敏感株:30~40%
ディフェンシブ株を中心に据えることで、景気後退局面でも安定した配当収入が期待できます。
バランス型ポートフォリオ
- ディフェンシブ株:50%
- 景気敏感株:50%
景気敏感株で成長性を取り込みつつ、ディフェンシブ株で安定性を確保するバランス型です。
成長重視型ポートフォリオ
- ディフェンシブ株:30~40%
- 景気敏感株:60~70%
成長余地が大きい景気敏感株を中心に据えることで、配当利回りの向上や株価成長を狙います。



私は安定した配当収入を確保するため、ディフェンシブ株をポートフォリオの過半数(50%以上)にしています。
米国ETFのポートフォーリオの組み方
米国の高配当株は、個別株よりもETFを活用する方が効率的だと考えています。
その理由は、ETFなら一つの商品で分散投資が可能となり、個別株に比べてリスクを抑えつつ安定した配当収入が期待できるからです。
個別株の銘柄選びにかかる時間や労力を省きながら、効率よく高配当ポートフォリオを組みたい方には最適な選択肢だと考えています。
高配当ETFを軸にする
米国ETFには代表的な高配当ETFがあり、それぞれ特徴が異なります。
まずは目的に合うETFを選びましょう。
ETF | 特徴 | 分配利回り |
VYM | 財務健全性が高い大型株中心で、安定した配当が期待できる。 | 3%前後 |
HDV | 高配当かつ安定性のあるディフェンシブ銘柄を多く含む。 | 3.5%前後 |
SPYD | 配当利回りの高い銘柄を均等に組み入れ。 | 4.5%前後 |
SCHD | 財務指標や成長性にも配慮し、高品質な高配当株を厳選。 | 3.3%前後 |
分散投資の割合を決める
高配当ETFの中でも、バランスを意識して複数のETFを組み合わせることでリスクを抑えられます。
例えば
- SCHD: 30%(増配と成長性を期待)
- VYM: 30%(成長性と安定性)
- HDV: 20%(ディフェンシブ中心で安定)
- SPYD: 10%(高利回り重視)
このように分散することで、ETFごとの特性を活かしつつリスクを軽減できます。
分散させることはリスクを抑えるために有効ですが、必ずしも分散する必要はないと思います。
理由は、VYMやSCHDならすでに高い分散効果を持っているためです。
日本高配当株と米国高配当ETFとの割合
米国高配当ETFは、分散、増配実績、成長性の観点から非常に魅力的です。
特に「配当貴族」や「配当王」に代表される増配実績のある企業が数多く含まれており、長期的な資産形成において大きな強みとなります。
一方で、円高時にはドル建て配当が減少する為替リスクもあります。
そのため、ポートフォリオの30%程度を日本の高配当株に割り当てることで、円建て収益を確保し、リスク分散を図るのも一つの考え方です。
「米国高配当ETF:日本高配当株 = 70:30」の割合は、米国ETFの分散性や成長性を活かしつつ、日本株の円建て収益で補完するバランスが取れた構成と言えるでしょう。
まとめ
月3万円の配当金を目指すためには、投資額と利回りのバランスが重要です。
年間配当36万円を得るには、利回り3.5%で約1,000万円の投資が必要となります。
日本株では、個別銘柄を選定し、大型株と中小型株を適切に組み合わせ、セクター分散を意識することが大切です。
また、米国ETFでは、VYMやSCHDを使った分散投資が効果的です。
日本株と米国ETFを組み合わせることで、安定性と成長性の両立を図り、効率的に資産を形成できます。



