フリーランスとして活動する中で、収入の不安定さや複雑な税務処理、将来の資金計画など、多くの課題に直面することが多いでしょう。そんな時に、ファイナンシャルプランナー(FP)資格を取得することが大いに役立ちます。
FP資格は、ライフプラン、保険、資産運用、不動産、相続などの幅広い知識を提供し、フリーランスが事業運営や日常生活において財務や家計の安心を得るための強力なサポートとなります。
本記事では、FP資格を取得したことで、具体的にどのようにフリーランスの仕事や日常生活にどのような場面で役に立ったのかについて詳しく説明します。
ファイナンシャルプランナー(FP)資格を取得した動機
フリーランスになると収入が不安定になることが予想され、お金に関する知識を身に着けた方がよいと思ったのが一番の理由です。
FP資格は、税金、公的年金、資産運用、保険など、実生活で必要となる幅広い財務知識を学ぶことができ、非常にコストパフォーマンスの良い資格だと感じました。これらの知識を身につけることで、収入と支出の管理や将来のリスクに対する備えが可能となり、経済的な安定を確保する手助けになります。
世の中には様々な資格が存在しますが、中には実際に役に立たないものもあります。しかし、FP資格はお金に関する教養を得るには素晴らしい資格だと思います。
フリーランスの事業運営、日常生活で役立ったFP知識
脱サラしてフリーランスになろうと考えている人は、会社を辞める前にFP資格を取得することをおすすめします。
実際に私が役に立った知識を以下に挙げます。
税金の知識
確定申告
サラリーマンを辞めてフリーランスになると、確定申告が必要になります。
サラリーマン時代は、会社が給与から所得税を源泉徴収し、年末調整で税金の過不足を調整してくれました。
しかし、フリーランスとして働く場合、収入や経費を自分で管理し、毎年自分で税務署に確定申告を行う必要があります。
私の場合はフリーランス2年目に、まずFP3級を取得し、その後FP2級の資格も取得したため、フリーランス1年目の確定申告では、税金の知識が乏しかったため、多くの時間を費やし、非常に苦労しました。
FP資格の勉強を通じて、税金に関する基本的な知識を体系的に学ぶことができました。
例えば、所得には10種類あり、課税方法(総合課税、分離課税)や所得税がどのように計算されるのかを理解することができました。
「総合課税や申告分離課税」といった用語は、確定申告書を作成する際に頻繁に登場するため、これらを理解しておくことは非常に役立ちました。
上場株式等の損益通算と損失の繰越
株式投資をしていましたが、損益通算について知りませんでした。
損益通算とは、上場株式の配当所得や譲渡所得などは、損失と利益を相殺して計算できることです。
損失が出た場合、確定申告することで、その損失を翌年以降の3年間、繰越すことが可能です。
同じ年内の株式売買に関する損益通算は、証券会社が自動的に行ってくれます。しかし、年をまたいで損益を通算する場合、確定申告が必要です。
私は、特定口座で株式を購入していましたが、損失が出た場合でも確定申告をしていなかったため、年を跨いだ損失が損益通算されず、これまで損失を被っていたことになります。
青色申告制度
青色申告を行うことで、青色申告特別控除、青色事業専従者給与の必要経費の参入などの特典が受けられます。
青色申告を行うと、青色申告特別控除により55万円の控除が受けられます。さらに、確定申告をe-Taxで行うと追加で10万円の控除が受けられ、合計で65万円が収入から控除されます。この控除により、課税所得が減少し、結果的に節税効果が得られます。
青色申告をするためには、貸借対照表と損益計算書を確定申告書と共に提出する必要があります。これらの書類は、会計ソフト(例えば、やよいの青色申告オンラインなど)を使用することで簡単に作成することが可能です。
青色申告制度もFP資格で学んで、青色申告承認申請書を税務署に提出し、現在は青色申告をしています。
年金制度に関する将来不安の解消
フリーランスとして、これらの年金制度を把握し理解しておくことが、将来の安定した生活を築くために重要です。
個人事業主は、サラリーマンと違って厚生年金に加入できないため、将来もらえる年金がサラリーマンより減ってしまいます。そこで、将来もらえる年金を少しでも増やすための知識として、FP資格で学んだことが役に立ちました。
確定拠出年金(ideco)
自分で拠出額を決め、運用する年金制度程度のものという知識しかありませんでしたが、FP資格を取得することでiDeCoの仕組みやメリットを深く理解することができ、知識の幅が大きく広がりました。
- 通算加入期間10年以上ある人は、60歳から受給することができる。75歳までに需給を開始しなければならない。
- 拠出限度額 自営業者 年816,000円/月68,000円、専業主婦(夫) 年276,000円/月23,000円
- 支払った掛け金の全額が、小規模企業共済等掛金控除の対象となり、節税を図ることができる。
といった点が、将来の安心に向けた具体的な計画を立てる上で役に立ちました。
企業型確定拠出年金は、idecoに移管できることを知り、移管手続きを行いました。現在、idecoで運用中です。
国民年金基金
FP資格を取得する以前は国民年金基金に関する知識は、全くありませんでした。
FPテキストでは以下のような内容のレベルしか載っていませんが、国民年金基金のメリット・デメリットを自分で調べるきっかけとなりました。
- 国民年金に上乗せして受け取ることができる年金制度
- 確定拠出年金の掛金と合算して月額68,000円まで拠出できる。
- 掛金は全額が社会保険料控除の対象となる。
- 国民年金基金と付加年金の両方に加入することができない。
FPの勉強をきっかけに、国民年金基金の詳細を自分で調べると、
・途中で解約できない
・運用利回りが低い
など、デメリットがあり加入はしないことにしました。
付加年金
FP資格の学習する以前は、付加年金制度の存在すら知りませんでした。
- 国民年金に月額400円を追加で支払うことで、将来の年金額を増やす制度
- 「支払った月数×200円」が毎年、国民年金の受給額に上乗せされる
例えば、付加年金を10年間(120か月)支払った場合、毎年の国民年金の受給額に「120か月 × 200円 = 24,000円」が加算されます。2年で元が取れて、一生涯にわたって続くため、非常にコストパフォーマンスの高い制度です。
2年で元が取れるので、付加年金に加入することに決めました。
民間保険の見直し
FP資格の学習では、各種民間保険(終身保険、定期保険、養老保険など)についてだけでなく、公的年金制度や公的医療保険についても学びます。これが、民間保険見直しの契機となりました。
私自身、FP資格の学習を通じて、公的年金制度には老齢基礎年金だけでなく、障害基礎年金や遺族基礎年金もあることを初めて知りました。また、公的医療保険に関する知識も不十分でした。
障害基礎年金や遺族基礎年金がいくら受け取れるかご存知ですか?
入院をした場合、高額療養費制度で自分の負担額が想像よりも少なくなることをご存知ですか?
恥ずかしながら、私はFP資格を学ぶまでその金額を知りませんでした。
公的年金や公的医療保険について学習し、どれくらいの給付が受けられるかを理解した上で、必要な民間保険に加入することの重要性を痛感しました。
資産運用の促進
株式、債券、投資信託は実際に購入して資産運用していたため、ある程度の知識がありましたが、FP資格を学ぶことで、あいまいだった部分がより明確になりました。
株式では、今後高配当株式投資を始めようと考えていたので良い勉強になりました。特に役立ちそうな点は、
- 個別銘柄の指標であるPER、PBR、ROE、自己資本比率といった用語の意味
- 企業の決算内容をコンパクトにまとめたレポートである決算短信の見方
です。
債券では、
- 利率と利回りの違いと利回りの計算方法
- 投資適格債や投資不適格債などの債券の格付けとリスク、価格、利回りとの関係
これらの点が非常に役立ちました。
恥ずかしながら、利回りと利率の違いについてよく理解しておらず、債券投資を行っていました。
不動産
マンションを購入した経験があるため、自分なりに一定の知識を持っていると思っていましたが、実際にはまだまだ知らないことが多く、体系的に学ぶことができて、大変勉強になりました。
将来、マンションを売却する可能性があるため、FP資格で学んだ以下の知識が役立つと考えられます。
- 居住用財産の3,000万円の特別控除
居住用財産を譲渡して得た譲渡所得から最高3,000万円を控除できる。 - 居住用財産の軽減税率の特例
特別控除3,000万円を控除した後の金額のうち、6,000万円以下の部分について軽減税率が適用される。
以上、FP資格を取得して、役に立った知識でした。
FP資格で得たお金の知識は、知っていると大きな利益になりますし、知らないと損をすることになります。
ファイナンシャルプランナーとして仕事をしないとしても、絶対に学んでおくべき知識だと強く感じました。
まとめ
フリーランスがファイナンシャルプランナー(FP)資格を取得することで、税金や年金制度に関する知識を深め、効果的な節税や将来の年金受給計画を立てることができ、金銭的な不安を解消することができます。
また、資産運用や不動産投資に関する専門知識を身につけ、自己の資産形成を促進することができます。
フリーランスになる前に、FP資格取得することをぜひ検討してみて下さい。