Schwab U.S. Dividend Equity ETF(SCHD)は、米国で非常に人気が高いETFです。
その魅力は高配当利回りと安定した増配率にあります。
このETFは、厳選された高配当株に投資することにより、安定性と成長のバランスを取ることができ、長期的な資産形成を目指す投資家にとって理想的な選択肢となっています。
特に、過去の増配実績が高い企業に焦点を当てており、株主に対して継続的に配当を提供しつつ、さらにその配当を増加させることを目指しています。
SBI証券と楽天証券から上場投資信託(ETF)SCHDのインデックスのパフォーマンスに連動をめざす投資信託が新たに登場しました。
この記事では、SCHDの魅力を深く分析するとともに、SBI証券と楽天証券から提供されるSCHD投資信託の特徴と違いを徹底的に比較します。
SCHD(Schwab U.S. Dividend Equity ETF)について
目的と投資対象
SCHDは、Schwab U.S. Dividend Equity ETFという米国の上場投資信託(ETF)で、主に米国株式市場に上場している高配当株に投資します。
このETFは、Charles Schwab(チャールズ・シュワブ)が運営しており、投資家に安定した配当収益を提供することを目的としています。
投資戦略
SCHDの投資戦略は、以下のような特徴があります。
- 配当利回りの高い企業に投資
投資対象としては、配当利回りが高く、さらに配当金の支払い能力が安定している企業を選定します。 - 安定した成長を狙う
単に高配当を支払う企業ではなく、業績が安定し、長期的に成長を見込める企業に投資します。 - 時価総額と流動性
大型株が中心となり、流動性の高い銘柄に投資することで、取引のしやすさを確保しています。
基本情報
ファンド設立日 | 2011年10月20日 |
純資産総額(2025/3/31現在) | $70,771,696,763(約9.9兆円) |
経費率 | 0.06% |
銘柄総数(2025/3/31現在) | 101 |
配当利回り(2025/3/31現在) | 3.72% |
セクター構成
エネルギー、生活必需品、ヘルスケアなど、さまざまなセクターに分散されています。
- エネルギー、生活必需品の比率が高い
エネルギーや生活必需品セクターには、安定したキャッシュフローを持ち、比較的高い配当を株主に還元する企業が多く含まれています。
エネルギーセクターは景気循環の影響を受けるものの、世界経済の基盤となるエネルギー需要が存在するため、長期的には安定した配当が期待できます。
一方、生活必需品セクターは景気変動に左右されにくく、不況時でも一定の需要が見込めるのが特徴です。
具体的には、石油・ガスの大手企業(ExxonMobil、Chevronなど)やタバコ、飲料メーカー(コカ・コーラ、ペプシコなど)が、歴史的に安定した配当を続けています。 - ヘルスケア、資本財サービスの比率も高い
ヘルスケアセクターは、医薬品、医療機器、バイオテクノロジーなど多岐にわたる業種を含み、景気変動の影響を受けにくいディフェンシブセクターとして知られています。
一方、資本財セクターは産業機械、輸送、建設、航空、防衛など幅広い分野をカバーし、経済成長や設備投資と密接に連動しています。
成長が期待される分野であると同時に、成熟した大手企業も多く含まれ、高配当銘柄も多数存在します。
セクター | SCHD 比率(%) | (参考)SPDR S&P 500 ETF 比率(%) |
エネルギー | 21.1 | 12.50 |
生活必需品 | 19.1 | 11.59 |
ヘルスケア | 15.7 | 5.89 |
資本財サービス | 12.4 | 7.58 |
金融 | 8.4 | 3.30 |
情報技術 | 7.9 | 10.37 |
一般消費財・サービス | 7.9 | 32.92 |
コミュニケーションサービス | 4.8 | 8.83 |
素材 | 2.8 | 2.02 |
公益事業 | 0.0 | 2.67 |

ハイテク株の比率が抑えられているため、S&P500と組み合わせて投資することで、ポートフォリオの分散効果を高められそうですね。
ポートフォーリオ
SCHDのポートフォリオは、主に米国の成熟した企業で構成されています。
銘柄 | 比率(%) | セクター |
ConocoPhillips コノコフィリップス | 4.68 | エネルギー (石油・ガス 探査・生産) |
Chevron Corporation シェブロン | 4.40 | エネルギー (石油・ガス 総合) |
Verizon Communications Inc. ベライゾン・コミュニケーションズ | 4.20 | 通信 |
Coca-Cola Company コカ・コーラ | 4.05 | 生活必需品 (飲料) |
Bristol-Myers Squibb Company ブリストル・マイヤーズ スクイブ | 4.04 | ヘルスケアセクター (医薬品) |
Altria Group, Inc. アルトリア・グループ | 3.99 | 生活必需品 (タバコ・嗜好品) |
AbbVie, Inc アッヴィ | 3.92 | ヘルスケアセクター (医薬品) |
Amgen Inc. アムジェン | 3.90 | ヘルスケアセクター (バイオ医薬品) |
PepsiCo, Inc. ペプシコ | 3.86 | 生活必需品 (飲料・食品) |
Cisco Systems, Inc. シスコ・システムズ | 3.82 | 情報技術 (通信機器・ネットワーク機器) |



トップ10の企業は、いずれも時価総額が大きく、業界をリードする成熟企業ばかりですね。
SBI SCHDと楽天 SCHDの比較
SBI SCHD(SBI・S・米国高配当株式ファンド(年4回決算型))と楽天 SCHD(楽天・高配当株式・米国ファンド(四半期決算型))を比較してみましょう。
楽天SCHDとSBI SCHDの違い
- 信託報酬はSBI SCHDの方が楽天SCHDより0.0011%とわずかに低く、コスト面での差は非常に小さいですが、長期投資においては積み重ねると無視できない差になる可能性があります。
- 楽天 SCHDの場合、NISA口座の場合、運用開始後、分配金コースの変更はできない。
例えば、最初は再投資で運用を行い、定年退職され、分配金を受取コースに変更したいという場合、途中から受取コースへの変更はNISA口座ではできません。 - 楽天 SCHDは投資信託残高ポイントプログラムの対象外ですが、SBI SCHDでは投信マイレージサービスの対象ファンドとなっています。
楽天SCHD | SBI SCHD | |
設定日 | 2024/9/27 | 2024/12/20 |
販売会社 | 楽天証券 | SBI証券 |
配当利回り | 3.45%(2024/10/31現在) | |
平均 | 増配率11.39% | |
決算月 | 2月、5月、8月、11月 | 3月、6月、9月、12月 |
信託報酬 | 0.1238% | 0.1227% |
分配金コース | 再投資/受取 但し、新NISA口座の場合、運用開始後の途中変更不可。 →分配金コースを切り替えられる機能を 2025年夏を目途に開始予定。 | 再投資/受取 新NISA口座、特定口座のどちらも運用開始後に変更可能 |
NISA | 成長投資枠 | |
ポイント | 投信残高ポイントプログラムの対象外 | 投信マイレージ 年率0.022% |



信託報酬は、2025年5月20日以降、SBI SCHDが0.1227%に改定したため、再び、楽天SCHDより安くなりました。
SBI証券の分配金受取の変更方法
SBI証券口座にログイン後、【口座管理】ボタン→【保有証券】タブの順にクリックすると、保有証券一覧(下記画面)が表示されます。


一番右側の分配金受取方法の【変更】をクリックすると、下記画面が表示されます。


取引パスワードを入力し、【登録・変更】ボタンをクリックします。
現在の分配金受取方法が再投資なら受取に、受取なら再投資に変更されます。


購入前に留意しておきたい事項
特別分配金
投資信託の購入価額や購入後の運用状況により、分配金支払い後の基準価額が元本を下回った場合、そのうち元本を取り崩した部分が特別分配金として扱われる可能性があります。
- どこで使われる?
-
特別分配金は投資信託で発生します。
タコ足配当は会社が十分な利益を上げていない場合に、自己資本(例えば剰余金や資本金)を取り崩して配当を支払う行為です。
- ポジティブ?ネガティブ?
-
特別分配金は計画的に運用されている投資信託の仕組みの一部なので、必ずしも悪いものではありません。
タコ足配当は会社が無理をして配当を出している場合が多く、経営の不安定さを示すことがあります。
- お金の性質
-
特別分配金はあなたが最初に投資した元本が返ってくるだけです。利益ではありません。
タコ足配当は会社の貯金を減らしているので、企業価値が下がる可能性があります。



特別分配金で支払われたからといって、それが必ずしもタコ足配当であるとは限りません。
増配率の現実的な見通し
本家SCHDの設定日は2011年10月であり、ITバブル崩壊やリーマンショックといった過去の大きな経済危機の影響は反映されていません。
そのため、今後も平均増配率が10%程度で推移すると期待しすぎない方が賢明でしょう。



増配率は6~8%程度を想定しておくのが現実的と言えるでしょう。
為替の影響
分配金の受け取り通貨についてですが、ETFの場合はドルまたは円を選択できます。
一方、SBI SCHDや楽天SCHDは投資信託のため、受け取りは円のみとなります。
そのため、円高に振れた際には受け取れる金額が減少する可能性がある点に注意が必要です。
まとめ
SBI SCHDと楽天 SCHDは、どちらも米国高配当ETF「SCHD」を投資対象とする国内投資信託ですが、信託報酬やポイントプログラム、NISA口座での分配金コース変更の対応状況に違いがあります。
SBI SCHDは、楽天 SCHDに比べて信託報酬が低く設定されており、コスト面での優位性があります。
また、投信マイレージサービスの対象となっており、ポイント還元を受けられる点でもお得です。
さらに、NISA口座において分配金コースの途中変更が可能であることから、運用の柔軟性にも優れています。
これらの特徴から、SBI SCHDはコストを重視しつつポイント還元や運用の柔軟性を求める投資家にとって、魅力的な選択肢と言えるでしょう。





